災害(さいがい)のときの"やさしい日本語会話集(にほんごかいわしゅう)"
■会話(2) 家族で話し合う
■会話(3) 避難所で(1)
■会話(4) 避難所で(2)
■会話(1) 防災訓練に参加して
マリア: | ごめんください。 |
立山: | ああ、マリアさん、こんにちは。 |
マリア: | あのう、回覧板です。 |
立山: | どうもごくろうさま。 |
マリア: | 立山さん、ちょっといいですか。 |
立山: | 何? |
マリア: | この回覧板、何のお知らせですか。 |
立山: | ああ、町内で防災訓練をやるというお知らせやよ。 |
マリア: | 防災訓練って何をするんですか。 |
立山: | 最近、いろいろな災害が多いけど、災害が起きても困らんように練習しとくがやちゃ。 |
マリア: | そうですか。私も行ったほうがいいですか。 |
立山: | もちろん、出た方がいいわ。けがした人を運ぶ練習とか、するらしいよ。マリアさん、防災訓練って初めてやろ。最近、地震とか台風とか、多いから、訓練は大事やちゃ。 |
マリア: | そうですよね。でも日本語、難しそうだな。 |
立山: | そうやねえ、でも、心配せんでもいいよ。私が町内の人を紹介してあげるちゃ。うちの町内の人はみんな親切やから、きっと助けてくれるちゃ。 |
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―訓練が終わったあと―
マリア: | 今日は誘ってくれてありがとうございました。日本語がむずかしかったけど、体験できたので、よく、わかりました。おとなりの黒部さんもいて、いろいろ教えてくれたし。 |
立山: | それは、よかったね。今日の訓練だけじゃなくて、町内のいろんな行事で近所の人と知り合いになっとくがは、大事やよ。いざという時、助け合わんとね。 |
マリア: | そうですよね。私も、立山さんにいつもおせわになっています。 |
立山: | 私の方もよろしくね。私もおばあちゃんやから、手伝ってね。 |
マリア: | はい。これからもよろしくお願いします。 |
コラム
災害に備える(いつもの生活で)(1) ―近所の人と助け合う(共助の精神)―
阪神・淡路大震災では、たくさんの人が家族や友達、近所の人に助けられました。
いつも、近所の人と仲良くしておくのは、大事なことです。それが災害の時の助け合いになります。まずあいさつから始めましょう。町のお祭りや行事に参加するのもいいですね。防災訓練には、ぜひ出ましょう。
どうしたら近所の人と仲良くできるでしょう?日本人の友だちや日本語教室で話し合ったらいいと思います。
■会話(2) 家族で話し合う
マリアさんの家です。家族みんなで、昨日の大雨の被害のニュースを見ながら話しています。
ジョゼ: | 最近は台風とか、地震とか、災害が多いなあ。急にこんな災害がきたら、こわいなあ。 |
レオナルド: | 僕、学校で災害の勉強をしたよ。もし災害がおきても被害を小さくすることはできるんだって。自分たちで準備しておくことが防災の第1歩だって。 |
ジョゼ: | 準備って、何をすればいいのかな? |
マリア: | そういえば、町内の訓練でも、どうやったら、家具が倒れないか、教えてもらったけど。倒れた家具や壊れた家の下になって、死ぬ人って多いらしいから・・・。 |
ジョゼ: | (部屋のまわりを見ながら)そうか、うちも考えないといけないね。 |
レオナルド: | それと、災害が起きたときの連絡方法も決めておいた方がいいって。 |
マリア: |
そうよね。昼はみんながばらばらだし。心配よね。 あっ、思いだした!日本語教室で「災害伝言ダイヤル」っていうのがあるって、聞いたけど。来週、教室で練習するって言ってた。 |
ジョゼ: | それはいいね。じゃ、僕も行こうかな。避難所とか、いろいろ聞きたいし。何も知らなかったら、本当に災害が起きた時、パニックになるね。 |
マリア: | そうね。まずは自分の命は自分で守らなくちゃね。 |
コラム
災害に備える(いつもの生活で)(2) ―自分の命は自分で守る(自助の精神)―
災害を止めることはできませんが、私たちの力で被害を少なくすることができます。では、何をすればいいですか。上の会話を読んで考えてください。他にもあるかもしれません。「自分の命は自分で守る」のが、防災の第一歩です。
■会話(3) 避難所で(1)
富山県で、とうとう災害が起きてしまいました。みんな避難所に逃げてきました。その避難所でおにぎりが配られました。「ご自由にお取りください」と書いてあります。
マリア: | 自由に取ってもいいみたいね。明日の朝も食べたいし、レオナルドのおやつもほしいし、ちょっとたくさんほしいな。この袋に入れよう。 |
佐藤: | ちょっと、ちょっと、そんなにたくさん持って行くがけ? だめやちゃ!何を考えとるが? |
マリア: | ええ?だって「ご自由に」って書いてありますよ。 |
佐藤: | あのねー。そやから言うて1人でそんなに持っていくがけ?本当に自分勝手やね。 |
マリア: | すみません・・・・ |
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マリア: | 立山さん、どうしてあんなに怒られたのか、わからないんですけど。「ご自由に」って、どういう意味なんですか。 |
立山: | そうやねえ。「ご自由にお取りください」は確かにわかりにくいね。それにしても、いきなり怒るなんてね・・。 |
マリア: | ちゃんと説明してくれたら、わかるのに・・なんだか、寂しいです。 |
モハメド: | 私もそう感じたことがあります。避難所の中に靴のまま、入ったら、すごく叱られました。「土足厳禁って、書いてあるだろ!」って。 |
マリア: | 漢字がわからない人も、字が読めない人もいます。ひらがなで書くとか、やさしい言葉で話してくれればいいのに・・。わからないことって、たくさんあります。 |
立山: | そうか、日本語も問題やね。 |
マリア: | そうなんです。立山さん、ありがとうございます。立山さんは、私たちの話を聞いてくれるから、うれしいです。 |
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モハメド: | あのう、さっき、明日炊き出しで、カレーライスが配られると聞いたんですが・・。カレーには豚肉が入っていますか。 |
立山: | それは聞いてみんとわからんね。 |
モハメド: | 私たち、イスラム教徒は豚肉は食べられません。それだけじゃなくて、ハラルフードと言って、特別な肉しか食べられないんです。 |
立山: | ああ、そうなんけ? 知らんかった。今日のこと、避難所のリーダーさんに相談してみるちゃ。 |
コラム
避難所で(1) ―文化の違いを乗り越えて―
避難所には、いろいろな人が集まります。文化や生活習慣、考え方がそれぞれ違います。避難所では、みんなとても大変な気持ちです。日本人と外国人との間にトラブルも起きるかもしれません。違いを理解し合って、みんなが一緒に過ごすためにはどうしたらいいでしょう。
まず、話し合いができることが大切です。日本人と外国人のことを理解し、話し合いをうまく進めてくれる立山さんのような人(人と人をつなぐ橋のような人)が必要ですね。外国人の中にも、そのような人が必要です。あなたは、そのような人になることができますか。
■会話(4) 避難所で(2)
今はお昼の1時です。今日は、お昼の炊き出しの時間が1時間も遅くなっています。マリアさんは友 だちの木村さんとリーさんと話しています。
マリア: | 今日、12時から炊き出しがあるはずよね。遅いなあ。朝から、ずっと準備しているみたいだけど、ボランティアさん、何をしているのかな。楽しみにしているのに。 |
木村: | そうやよね。わたしたちはボランティアさんが頼りながに、なかなか動いてくれんね。 |
マリア: | そうそう。伝言板の紙がわかりにくいから、早く書きかえてって言っているのに、なかなかやってくれないし・・・。 |
リー: | ちょっと、待って。私もそう思うけど・・・・・。でも、それって、ボランティアさんしかできないこと? |
マリア・木村: | えっ? |
リー: | 私たちって、全部だれかがやってくれるって思ってない?炊き出しの準備は、私たちも手伝えるよね。 |
マリア: | そうか。今まで考えたこともなかった。やってもらうのが、普通になっていた。 |
木村: | 他にも何かできることあるがじゃないかな。そういえば、昨日は、ベトナム人の研修生の人が、電気を直しとったわ。 |
マリア: | そうか、私たちにもできることあるよね。 |
リー: | じゃ、まずは、炊き出しのお手伝い! |
マリア・木村: | そうやね! |
コラム
避難所で(2) ―自立―
たくさんの人たちが、避難所のあなたの生活を助けてくれます。しかし、自分でできることもたくさんあります。いつまでも、人から助けられるのではなく、自分たちができることを、いろいろしましょう。それが避難所の生活をもっとよくしていきます。
特に外国人は、言葉や文化の通訳ができますから、日本人よりもっと、役に立つこともできるかもしれません。自分のことは自分でして、人のために働くことで、あなたもどんどん元気になっていくでしょう。
制作協力 : トヤマ・ヤポニカ